2026年6月23日
頭痛は多くの方が経験するありふれた症状です。「またいつもの頭痛か」と市販薬でやり過ごしている方も多いのではないでしょうか。
確かに頭痛の大部分は命に関わらないものですが、ごく一部に脳出血・くも膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍など、緊急の対応が必要な危険な頭痛が隠れていることがあります。これらは見逃すと命や後遺症に関わるため、「危険な頭痛のサイン」を知っておくことがとても大切です。
頭痛には2つのタイプがある
頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。
| タイプ | 特徴 | 主な例 |
|---|---|---|
| 一次性頭痛 | 命に関わる病気が原因ではない、繰り返し起こる頭痛 | 緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛 |
| 二次性頭痛 | 別の病気が原因で起こる頭痛。中に危険なものがある | くも膜下出血・脳出血・髄膜炎・脳腫瘍など |
頭痛で本当に注意すべきは、後者の二次性頭痛です。とくに、これまで経験したことのないタイプの頭痛や、急に始まった激しい頭痛は要注意です。
すぐに病院へ|危険な頭痛のチェックリスト
以下に当てはまる頭痛は、危険な病気が隠れている可能性があります。一つでも当てはまる場合は、自己判断で様子を見ず、医療機関を受診してください。強い症状の場合はためらわず救急要請(119番)を。
🚨 突然・激しい
- 突然始まった、これまで経験したことのない激しい頭痛
- 「バットで殴られたような」「雷に打たれたような」と表現される頭痛
- 数秒〜1分以内にピークに達する頭痛
→ くも膜下出血などの可能性。緊急性が高い症状です。
🚨 神経の症状を伴う
- 手足の麻痺・しびれ(片側に多い)
- ろれつが回らない・言葉が出にくい
- 物が二重に見える・視野が欠ける
- 意識がもうろうとする・反応が鈍い
- けいれんを起こした
- 歩きにくい・ふらつく
→ 脳出血・脳梗塞などの可能性があります。
🚨 発熱・首の症状を伴う
- 高熱を伴う頭痛
- 首が硬くなる・前に曲げると痛む
- 吐き気・嘔吐を伴う
→ 髄膜炎・脳炎などの可能性があります。
🚨 だんだん悪化する・パターンが変わる
- 日や週を追って少しずつ悪化する頭痛
- 朝方や起床時に強く、嘔吐を伴う頭痛
- 咳・くしゃみ・いきみで悪化する頭痛
- いつもの頭痛と明らかにパターンが変わった
→ 脳腫瘍など、頭の中の圧が高まる病気の可能性があります。
🚨 血圧が普段より高い
- 頭痛とともに、普段より血圧が大きく上がっている(自宅の血圧計でいつもより明らかに高い)
- もともと高血圧があり、血圧が高い状態が続いているときの頭痛
- 頭痛に加えて吐き気・めまい・手足の症状を伴う
→ 高血圧は脳出血・くも膜下出血の最大の危険因子の一つです。普段血圧を測っている方は、頭痛時に一度測ってみることをおすすめします。いつもと比べて極端に高い(目安として上の血圧が180mmHgを超えるなど)場合は要注意です。
🚨 その他の注意すべき状況
- 50歳以降に初めて起きた頭痛
- 頭を強く打った後の頭痛(特に高齢の方、血をサラサラにする薬を飲んでいる方)
- がんの治療歴がある方の新たな頭痛
- 妊娠中・産後の強い頭痛
→ 慢性硬膜下血腫など、時間が経ってから症状が出る病気もあります。
危険な頭痛の背景にある主な病気
くも膜下出血
脳の血管にできた「動脈瘤(こぶ)」が破裂し、脳の表面に出血する病気です。突然の激しい頭痛が特徴で、「人生で最悪の頭痛」と表現されることもあります。発症すると命に関わることが多く、一刻も早い対応が必要です。
脳出血
脳の中の血管が破れて出血する病気です。高血圧が最大の原因で、血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかり、破れやすくなります。頭痛とともに手足の麻痺・ろれつの回りにくさ・意識障害などを伴うことがあります。発症時には血圧が普段よりも著しく高くなっていることが多く、「いつもより血圧が高く、頭痛がする」というときは注意が必要です。日頃から血圧を管理し、高い状態を放置しないことが予防につながります。
脳梗塞
脳の血管が詰まる病気です。頭痛は必発ではありませんが、麻痺・しびれ・言葉の障害などの神経症状を伴います。早期の治療が後遺症を左右します。
髄膜炎・脳炎
細菌やウイルスが脳やその周囲に感染する病気です。発熱・激しい頭痛・首の硬直・嘔吐などが特徴で、放置すると重症化します。
脳腫瘍
頭の中にできものができる病気です。腫瘍が大きくなると頭の中の圧が高まり、朝方に強い頭痛・嘔吐・神経症状などが徐々に現れます。
慢性硬膜下血腫
頭を打ってから数週間〜数ヶ月後に、脳の表面にじわじわと血がたまる病気です。高齢の方に多く、頭痛のほか、物忘れ・歩行のふらつき・手足の動かしにくさなどが現れます。「最近ぼんやりしている」と認知症と間違われることもあります。手術で改善が期待できる病気です。
救急車を呼ぶべき頭痛・早めに受診すべき頭痛
ためらわず救急車(119番)を呼ぶ
- 突然の激しい頭痛(雷に打たれたような)
- 手足の麻痺・ろれつが回らない・言葉が出ない
- 意識がもうろうとしている・呼びかけに反応が鈍い
- けいれんを起こしている
- 高熱と首の硬直を伴う激しい頭痛
これらは一刻を争う状態のことがあります。判断に迷う場合は、**#7119(救急安心センター事業)**に電話して相談することもできます。
できるだけ早めに医療機関を受診
- だんだん悪化していく頭痛
- 朝方に強く、嘔吐を伴う頭痛
- 50歳以降に初めて起きた頭痛
- 頭を打った後、しばらくして出てきた頭痛・物忘れ
- いつもと違うパターンの頭痛
緊急性は高くなくても、放置せず受診して原因を調べることが大切です。
ありふれた頭痛(一次性頭痛)について
危険な頭痛がある一方で、頭痛の大部分は命に関わらない「一次性頭痛」です。過度に心配しすぎる必要はありません。代表的なものをご紹介します。
緊張型頭痛 頭全体が締めつけられるような、後頭部から首にかけての痛みが特徴です。長時間の同じ姿勢・パソコン作業・ストレス・肩こりなどが関係します。最も多いタイプの頭痛です。
片頭痛 ズキンズキンと脈打つような痛みで、頭の片側に起こることが多いです。光や音に敏感になる、吐き気を伴う、体を動かすと悪化する、といった特徴があります。
群発頭痛 一定の期間に集中して、目の奥がえぐられるような激しい痛みが起こります。男性に多く見られます。
これらの一次性頭痛も、生活に支障が出ている場合は治療で楽になることが多いため、我慢せず相談することをおすすめします。ただし、上のチェックリストに当てはまる症状を伴う場合は、危険な頭痛との区別のために受診が必要です。
頭痛の検査の流れ
医療機関では、危険な頭痛を見逃さないために以下のような検査・診察を行います。
問診・神経学的診察
いつから・どのように痛むか、痛みの程度や経過、ほかの症状(麻痺・しびれ・発熱・嘔吐など)の有無、既往歴や服用中の薬などを詳しくうかがいます。手足の動き・感覚・反射・目の動きなどを確認する診察も重要です。
頭部CT検査
頭痛の精密検査で中心的な役割を果たすのがCT検査です。とくに、くも膜下出血や脳出血といった「出血」を短時間で見つけることに優れています。突然の激しい頭痛や、頭を打った後の頭痛では、まず頭部CTで出血の有無を確認することが重要です。慢性硬膜下血腫の発見にも有用です。
CTは検査時間が短く、急な頭痛にもすぐ対応できるため、危険な頭痛の初期評価に適した検査です。CT検査とレントゲンの違いについては、別記事「[CT検査とレントゲンの違いは?どんな症状のときに受けるべきか医師が解説]」もあわせてご覧ください。
MRI検査(必要に応じて専門機関で)
発症してまもない脳梗塞や、脳腫瘍、小さな病変の評価にはMRIが適しています。当院ではMRIや専門的治療が必要と判断した場合、連携する医療機関(脳神経外科など)を速やかにご紹介します。
血液検査
発熱を伴う頭痛で感染症が疑われる場合などに、炎症の程度を調べるために行うことがあります。
当院での頭痛診療について
問診・神経学的診察に加え、必要に応じて院内のCT検査で出血の有無などを評価し、危険な頭痛を見逃さない診療を心がけています。
緊急性が高いと判断した場合や、MRI・手術などの専門的な対応が必要な場合は、連携する脳神経外科・専門病院へ速やかにおつなぎします。「いつもと違う頭痛が心配」「頭を打った後から調子が悪い」「健診や人間ドックは受けているが頭痛が気になる」といった方も、お気軽にご相談ください。
なお、突然の激しい頭痛・手足の麻痺・意識障害・けいれんなどがある場合は、当院ではなく、ためらわず救急車(119番)を要請してください。
まとめ
- 頭痛の大部分は命に関わらないが、ごく一部に危険な頭痛が隠れている
- 突然の激しい頭痛・麻痺・発熱と首の硬直・だんだん悪化する頭痛は要注意
- 普段より血圧が高いときの頭痛も、脳出血などの危険因子として注意
- 背景にはくも膜下出血・脳出血・髄膜炎・脳腫瘍・慢性硬膜下血腫などがある
- 強い症状はためらわず救急車(119番)を。迷ったら#7119へ
- 危険な頭痛の初期評価には頭部CT検査が有用
- いつもと違う頭痛は我慢せず、早めにご相談ください