2026年8月13日
背中の痛みは、多くの方が経験する、身近な症状です。その多くは、筋肉の疲れやこり、姿勢などによるもので、心配のいらないことが少なくありません。しかし、中には、心臓や血管、内臓の病気が原因の、注意が必要な背中の痛みもあります。
この記事では、背中の痛みの主な原因、放置してはいけない危険なサイン、受診の目安について、わかりやすく解説します。まず、すぐに対応が必要な場合からお伝えします。
すぐに救急要請を考えるべき背中の痛み
次のような背中の痛みは、命に関わる病気のサインのことがあります。すぐに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼んでください。
- 突然の、引き裂かれるような激しい背中や胸の痛み(大動脈の病気=大動脈解離などのことがあります)
- 胸の痛みや圧迫感を伴う背中の痛み、冷や汗を伴う(心筋梗塞などのことがあります)
- 息苦しさ、呼吸をすると強くなる痛みを伴う
- 意識がおかしい、血の気が引く、脈が乱れる
とくに、「今までに経験したことのない、突然の激しい痛み」は要注意です。ためらわず、早めに対応してください。
背中の痛みの主な原因
背中の痛みの原因は、大きく分けて、背骨や筋肉など「体の構造」によるものと、内臓や血管など「体の内側」によるものがあります。
筋肉・骨などによるもの(多くみられる)
- 筋肉の疲れ・こり(筋肉や筋膜の痛み)
- 姿勢の悪さ、長時間同じ姿勢
- 背骨や、背骨の間の関節の変化(加齢など)
- 背骨の圧迫骨折(高齢の方・骨粗しょう症の方)
内臓・血管などによるもの(注意が必要なことも)
- 心臓の病気(狭心症・心筋梗塞)
- 大動脈の病気(大動脈解離・大動脈瘤)
- 肺や胸膜の病気
- 胃・十二指腸の病気(胃潰瘍など)
- 胆のう・胆道の病気(胆石など)
- 膵臓の病気(膵炎など)
- 腎臓・尿路の病気(尿路結石・腎盂腎炎)
- 帯状疱疹
多くは、筋肉などによるものですが、内臓や血管の病気が、背中の痛みとして現れることもあるため、痛み方や、伴う症状に注意することが大切です。
体を動かすと痛む場合は、筋肉や骨格によることが多い
背中の痛みが、体をひねったとき、前かがみになったとき、体を反らしたとき、立ち上がったときなど、**体を動かしたときに強くなる場合(体動時の痛み)**や、痛む場所を押すと痛い場合、特定の姿勢で痛む場合は、筋肉や骨格(背骨・関節など)によるものが多いとされます。こうした痛みは、体の動きや姿勢によって、強くなったり和らいだりし、安静にすると楽になる傾向があります。
逆に、体の動きや姿勢に関係なく、じっとしていても痛む、常に痛い、という場合は、内臓や血管の病気による痛みのことも考えます。とくに、動きに関係なく起こる、突然の激しい痛みは注意が必要です。
ただし、これはあくまで目安です。「動くと痛むから、必ず筋肉のせい」とは言い切れません。体の動きに関係する痛みでも、まれに、ほかの病気が関わっていることもあります。そのため、痛みが強い場合や、長引く場合、しびれを伴う場合、冒頭で述べたような危険なサインを伴う場合は、自己判断せず、受診して原因を確認しましょう。
「動くと痛む」痛みと「じっとしていても痛む」痛み
背中の痛みを考えるとき、「どんなときに痛むか」は、大切な手がかりになります。
動くと痛む(体動時痛)・姿勢で変わる痛みは、筋肉や骨格によるものが多く、多くは、セルフケアや、体を休めることで和らいでいきます。前かがみ・体をひねる・立ち上がるなどの動作で痛む、押すと痛い、といった特徴があります。
動きに関係なく、じっとしていても痛む・安静時や夜間も痛む場合は、注意が必要なことがあります。内臓や血管の病気による痛みは、体の動きと関係しないことが多く、また、安静にしていても続く痛みや、夜間に強くなる痛みは、念のため調べたほうがよいことがあります。体重の減少などを伴う場合は、とくに確認が大切です。
自分の痛みが、どんなときに、どのように痛むかを知っておくと、受診の際にも役立ちます。
筋肉の痛みと神経の痛み
背中の痛みには、筋肉そのものの痛みと、神経が関わる痛みがあります。
筋肉の痛みは、こった感じ、重だるい感じ、動かすと痛む、押すと痛い、といった形で感じられることが多いです。一方、神経が関わる痛みは、ピリピリ・ジンジンする、電気が走るような、しびれを伴う、といった形で感じられることがあります。背骨の変化などで神経が圧迫されると、こうした神経の痛みや、手足のしびれ・力の入りにくさが起こることがあります。
しびれや、力の入りにくさを伴う痛みは、神経への影響が考えられるため、放置せず、受診して確認することが大切です。
筋肉や姿勢による背中の痛み
背中の痛みで最も多いのが、筋肉の疲れやこり、姿勢によるものです。長時間のデスクワークや、同じ姿勢、猫背などの姿勢、重いものを持つ動作、運動不足などで、背中の筋肉に負担がかかり、痛みやこりが生じます。
このタイプの痛みは、体を動かすと痛む、押すと痛い、こっている感じがする、といった特徴があります。姿勢を見直したり、ストレッチや軽い運動をしたり、体を休めたりすることで、和らぐことが多いです。ただし、痛みが強い場合や、長く続く場合、しびれを伴う場合などは、確認したほうがよいこともあります。
背骨の病気による背中の痛み
背骨や、背骨の間の関節、椎間板などの変化によって、背中の痛みが起こることもあります。加齢に伴う変化や、姿勢などが関わります。
とくに、高齢の方や、骨粗しょう症のある方では、背骨がつぶれる「圧迫骨折」が起こることがあります。重いものを持ったときや、しりもちをついたときなどをきっかけに、あるいは、はっきりしたきっかけなく、背中や腰に痛みが生じます。手足のしびれや、力の入りにくさを伴う場合は、神経への影響も考えられ、注意が必要です。
内臓の病気による背中の痛み
内臓の病気が、背中の痛みとして現れることがあります。これは、内臓の痛みが、背中のほうに感じられる(放散する)ためです。
- 胃・十二指腸:胃潰瘍などで、みぞおちから背中にかけて痛むことがあります。
- 胆のう・胆道:胆石や胆のう炎で、右上腹部から背中にかけて痛むことがあります。
- 膵臓:膵炎で、みぞおちから背中にかけて、強く痛むことがあります。
- 腎臓・尿路:尿路結石や腎盂腎炎で、わき腹や背中が痛むことがあります。腎盂腎炎では発熱を伴います。
これらは、背中の痛みに加えて、腹痛、吐き気、発熱、食事との関係、血尿などを伴うことがあります。こうした症状を伴う背中の痛みは、内臓の病気を考えて、受診することが大切です。
心臓・血管の病気による背中の痛み
背中の痛みの中で、とくに見逃してはいけないのが、心臓や血管の病気によるものです。
狭心症・心筋梗塞では、胸の痛みや圧迫感とともに、背中や肩、腕、あごなどに痛みが広がることがあります。冷や汗を伴う、体を動かすと悪化する、といった場合は要注意です。
大動脈解離は、背中や胸に、突然、引き裂かれるような激しい痛みが起こる、命に関わる病気です。大動脈瘤が関わることもあります。突然の激しい背中・胸の痛みは、すぐに対応が必要です。
これらは、命に関わることがあるため、冒頭でお伝えしたような症状がある場合は、ためらわず、早めに受診・救急要請をしてください。
帯状疱疹による背中の痛み
帯状疱疹は、体の左右どちらかに、痛みと、赤い発疹・水ぶくれが、帯のように現れる病気です。背中や胸などに起こることがあります。
帯状疱疹では、発疹が出る数日前から、皮膚の違和感やピリピリした痛みが先に現れることがあり、発疹が出るまでは、原因が分かりにくいこともあります。片側の背中に、ピリピリ・チクチクした痛みがあり、その後、発疹が出てきた場合は、帯状疱疹の可能性があります。早めの治療が大切なので、受診しましょう。
こんな背中の痛みは受診を
救急を要するものでなくても、次のような場合は、受診をおすすめします。
- 背中の痛みが、なかなか治らない、繰り返す
- だんだん強くなってくる
- 手足のしびれや、力の入りにくさを伴う
- 発熱、腹痛、吐き気、血尿などを伴う
- 体重が減ってきた、夜間や安静にしていても痛む
- 高齢の方や骨粗しょう症の方で、痛みが強い
とくに、安静にしていても痛む、夜間に痛む、体重減少を伴う、といった場合は、念のため確認したほうがよいことがあります。
検査について
背中の痛みで受診した場合、まず、痛みの起こり方や、場所、伴う症状、経過などをうかがい、診察を行います。そのうえで、原因に応じて、必要な検査を行います。
筋肉や背骨によるものが疑われれば、レントゲンなどで背骨の状態を調べます。内臓や血管の病気が疑われる場合には、血液検査、心電図、腹部や心臓の超音波、CT検査などで、原因を調べます。当院では、レントゲン・血液検査・心電図・超音波に加え、院内でのCT検査(造影剤を使わない単純CT)も行えます。これらを組み合わせて、背中の痛みの原因を見きわめ、対応していきます。より高度な検査や専門的な治療が必要な場合は、適切な医療機関へおつなぎします。
筋肉による背中の痛みへの対応
筋肉の疲れやこり、姿勢による背中の痛みには、次のような対応が役立ちます。
- 同じ姿勢を長く続けず、こまめに体を動かす
- 猫背などの姿勢を見直す
- 軽いストレッチや、無理のない範囲での運動を行う
- 痛みが強いときは、無理をせず体を休める
- 体を温める(急性の強い痛みや、腫れ・熱がある場合を除く)
ただし、これらは、内臓や血管などの病気による痛みではないことが前提です。痛みが強い、長引く、ほかの症状を伴う、という場合は、自己判断で対応せず、まず受診して原因を確認しましょう。
大動脈解離について
大動脈解離は、体の中で最も太い血管である大動脈の壁が、裂けてしまう病気です。突然、胸や背中に、引き裂かれるような、非常に激しい痛みが起こるのが特徴で、痛みが移動していくこともあります。命に関わる、緊急の病気です。
大動脈解離の最大の危険因子は、高血圧です。高血圧のある方が、突然の激しい背中や胸の痛みに見舞われた場合は、とくに注意が必要です。このような痛みがあるときは、ためらわず、救急車を呼んでください。日ごろから血圧を管理しておくことが、予防につながります。
背骨の圧迫骨折について詳しく
背骨の圧迫骨折は、背骨(椎体)がつぶれるように折れる状態で、骨がもろくなる骨粗しょう症のある方に多く起こります。とくに、高齢の女性に多くみられます。
重いものを持ち上げたとき、しりもちをついたとき、あるいは、はっきりしたきっかけがなくても起こることがあります(いつのまにか骨折)。背中や腰の痛みが生じ、体を動かすと痛みが強くなることがあります。圧迫骨折を繰り返すと、背中が丸くなったり、身長が縮んだりすることもあります。高齢の方で、背中の痛みが続く場合は、圧迫骨折や、その背景にある骨粗しょう症の確認も大切です。
姿勢・デスクワークと背中の痛み
長時間のデスクワークや、スマートフォンの使用、猫背などの姿勢は、背中の筋肉に負担をかけ、痛みやこりの原因になります。同じ姿勢を続けることで、筋肉が緊張し、血の巡りも悪くなります。
こうした痛みには、こまめに姿勢を変える、1時間に一度は立ち上がって体を動かす、画面の高さを目線に合わせる、といった工夫が役立ちます。デスクワークが多い方は、日ごろから姿勢や、体を動かす習慣に気を配ることで、背中の痛みを和らげたり、防いだりできます。
ストレスと背中の痛み
ストレスや、緊張、疲れも、背中の痛みに関わることがあります。ストレスがかかると、無意識に体に力が入り、筋肉が緊張して、背中や肩のこり・痛みにつながることがあります。
また、痛みが続くと、それがさらにストレスになる、という悪循環もあります。十分な休養や睡眠をとる、リラックスする時間を持つ、軽く体を動かす、といったことも、背中の痛みの改善に役立つことがあります。ただし、ストレスのせいと決めつけず、痛みが続く場合は、まず原因を確認しましょう。
痛む場所からわかること
背中の痛みは、痛む場所によって、考えられる原因が異なることがあります。
- 背骨の中央あたり:背骨や、その周りの筋肉によるもの、圧迫骨折など
- 肩甲骨の間・背中の上のほう:筋肉のこりのほか、心臓や大動脈の病気が関わることも
- わき腹から背中にかけて:腎臓や尿路の病気(尿路結石・腎盂腎炎)など
- みぞおちから背中にかけて:胃・膵臓・胆道などの病気
もちろん、場所だけで原因が決まるわけではありませんが、伴う症状とあわせて、原因を考える手がかりになります。受診の際に、痛む場所や、伴う症状を伝えると役立ちます。
背中の痛みを予防するには
筋肉や姿勢による背中の痛みは、日ごろの心がけで、予防したり、和らげたりできます。
- 同じ姿勢を長く続けず、こまめに体を動かす
- 正しい姿勢を意識する(猫背を避ける)
- 適度な運動で、背中や体幹の筋肉を保つ
- 軽いストレッチを習慣にする
- 重いものを持つときは、腰やひざを使い、背中に負担をかけない
- 十分な睡眠をとり、疲れをためこまない
これらは、背中の痛みだけでなく、腰の痛みや、肩こりの予防にも役立ちます。無理のない範囲で、続けられることから取り入れてみましょう。
高齢の方の背中の痛み
高齢の方の背中の痛みでは、骨粗しょう症による背骨の圧迫骨折に、とくに注意が必要です。はっきりしたきっかけがなくても起こることがあり、背中の痛みが続く場合は、確認が大切です。骨粗しょう症は、骨密度の検査で調べることができます。
また、高齢の方は、心臓や血管、内臓の病気のリスクも高い傾向があります。背中の痛みに、胸の症状や、腹痛、発熱などを伴う場合は、これらの病気も考えて、放置せず受診しましょう。ふだんと様子が違う場合は、周りの方も気を配ることが大切です。
女性と背中の痛み
女性では、閉経後に骨粗しょう症が進みやすく、背骨の圧迫骨折による背中の痛みが起こりやすくなります。背中の痛みが続く場合は、骨密度の確認も役立ちます。
また、背中の痛みの背景に、内臓の病気があることもあります。痛みが長引く場合や、ほかの症状を伴う場合は、自己判断せず、原因を確認しましょう。
自己判断で対応しないほうがよいとき
背中の痛みには、湿布やマッサージなどで対応したくなるものですが、次のような場合は、まず受診して原因を確認することが大切です。自己判断で対応を続けると、内臓や血管の病気を見逃すおそれがあります。
- 突然の激しい痛み、胸の痛みや冷や汗を伴う
- 発熱、腹痛、吐き気、血尿などを伴う
- 手足のしびれや、力の入りにくさを伴う
- 安静にしていても痛む、夜間に痛む
- 体重が減ってきた
- 痛みがだんだん強くなる、長く続く
これらは、筋肉以外の病気のサインのことがあります。まず原因を確認したうえで、それに応じた対応をとりましょう。
背中の痛みと上手に付き合うために
背中の痛みの多くは、筋肉の疲れやこり、姿勢によるもので、生活の見直しやセルフケアで和らぐことが多いものです。過度に心配しすぎる必要はありません。一方で、心臓・大動脈・内臓の病気が、背中の痛みとして現れることもあるため、痛み方や、伴う症状に注意することが大切です。
とくに、突然の激しい痛みや、胸の症状・冷や汗を伴う場合は、ためらわず救急要請を。発熱・腹痛・血尿・しびれ・体重減少を伴う場合や、安静時・夜間の痛みは、放置せず受診しましょう。筋肉によるものと分かれば、姿勢や生活を見直しながら、上手に付き合っていけます。背中の痛みでお困りのときは、一度ご相談ください。
急に背中に強い痛みが走ったとき
重いものを持ち上げた、体をひねった、といった動作をきっかけに、急に背中に強い痛みが走ることがあります。筋肉や、背骨の周りの組織を痛めた、いわゆる「ぎっくり背中」のような状態のことがあります。
このような場合は、無理に動かさず、まず楽な姿勢で安静にします。多くは、数日から徐々に和らいでいきます。ただし、痛みが非常に強い場合や、しびれや力の入りにくさを伴う場合、高齢の方や骨粗しょう症のある方で圧迫骨折が疑われる場合、また、動作と関係なく突然起きた激しい痛みの場合は、受診して確認しましょう。とくに、引き裂かれるような激しい痛みは、血管の病気の可能性もあるため注意が必要です。
受診のときに伝えるとよいこと
背中の痛みで受診する際は、次の点を伝えると、原因を調べるのに役立ちます。
- いつから、どのように痛み始めたか(突然か、徐々にか)
- 痛む場所、痛み方(ズキズキ、締めつけ、引き裂かれるようなど)
- きっかけ(動作の後か、関係なく起きたか)
- 伴う症状(胸の症状、腹痛、発熱、吐き気、血尿、しびれ、発疹など)
- 動くと痛むか、安静でも痛むか、夜間に痛むか
- 持病(高血圧・骨粗しょう症など)、飲んでいる薬
これらの情報は、筋肉によるものか、内臓や血管の病気によるものかを見きわめる、大切な手がかりになります。
寝具や日常動作の工夫
背中の痛みには、日常の動作や、寝るときの姿勢も関わることがあります。やわらかすぎる寝具や、体に合わない枕は、背中に負担をかけることがあります。自分の体に合った寝具を選ぶことも、背中の負担を減らすのに役立ちます。
また、朝起きたときや、長時間座った後などは、急に大きく動かず、ゆっくり体を動かすとよいでしょう。日常のちょっとした工夫で、背中への負担を減らすことができます。
関連痛(内臓の痛みが背中に出る)について
内臓の病気による背中の痛みは、「関連痛(かんれんつう)」と呼ばれる仕組みで起こることがあります。これは、内臓からの痛みの信号が、脳で、背中など、別の場所の痛みとして感じられる現象です。
たとえば、心臓の病気で肩や背中が痛む、膵臓の病気でみぞおちから背中が痛む、といったことが起こります。関連痛は、痛む場所を押しても痛みが変わらない、体の動きと関係しない、といった特徴があることが多く、これも、筋肉や骨格による痛みとの違いの手がかりになります。内臓の病気が疑われる痛みは、腹痛・吐き気・発熱・胸の症状などを伴うことも多いため、こうした症状にも注意しましょう。
温める・冷やす、どちらがよいか
筋肉のこりや疲れによる、慢性的な背中の痛みには、温めることが役立つことが多いです。温めることで、血の巡りがよくなり、筋肉の緊張が和らぎます。入浴や、蒸しタオル、温熱シートなどが役立ちます。
一方、ぶつけた直後や、急に強く痛めた直後で、腫れや熱を持っているような場合は、冷やすほうがよいこともあります。迷う場合や、痛みが強い場合は、無理をせず、まず安静にし、必要に応じて受診しましょう。なお、内臓や血管の病気による痛みには、温める・冷やすでの対応は適さないため、原因のはっきりしない痛みは、まず受診して確認することが大切です。
市販の痛み止め・湿布との付き合い方
筋肉や骨格による背中の痛みには、市販の痛み止めや、湿布が役立つことがあります。これらで痛みを一時的に和らげながら、体を休めたり、生活を見直したりするのも一つの方法です。
ただし、市販薬を使っても痛みが改善しない場合、痛みが長引く・強くなる場合、ほかの症状を伴う場合は、市販薬を続けるのではなく、受診して原因を確認しましょう。とくに、内臓や血管の病気による痛みには、湿布や痛み止めは効果がなく、見逃しにつながることもあります。また、痛み止めの飲み薬は、胃腸や腎臓に負担をかけることもあるため、持病のある方や、長く使う場合は、医師に相談すると安心です。
ストレッチ・運動を行うときの注意点
筋肉や姿勢による背中の痛みには、軽いストレッチや、無理のない範囲での運動が役立ちます。固まった筋肉をほぐし、血の巡りをよくすることで、痛みが和らぐことがあります。
ただし、行うときは、痛みが強いときは無理をしない、反動をつけず、ゆっくり伸ばす、痛みが強くなる動きは避ける、といったことに注意しましょう。急に激しい運動をすると、かえって痛める原因になります。また、痛みの原因がはっきりしないうちに、自己流で強く動かすのは避け、まず原因を確認することが大切です。原因に応じた運動やストレッチについては、相談することもできます。
慢性的な背中の痛みについて
背中の痛みが、長く続いたり、繰り返したりする場合を、慢性的な背中の痛みといいます。姿勢や、筋力の低下、運動不足、日常の動作、ストレスなどが、複雑に関わっていることがあります。
慢性的な痛みは、一度の対応で完全に治すというより、生活を見直しながら、うまく付き合っていくことが大切になります。姿勢を整える、適度に体を動かす、筋力を保つ、ストレスをためこまない、といったことを、続けていくことが役立ちます。一方、慢性的な痛みだと思っていても、その中に、注意が必要な原因が隠れていることもあります。痛みの様子が変わってきた、強くなってきた、新しい症状が出てきた、という場合は、あらためて受診して確認しましょう。
検査でわかることを詳しく
背中の痛みの検査は、原因を見きわめるために行います。まず、診察で、痛む場所、押したときの痛み、動きによる痛みの変化、しびれの有無などを確認します。これだけでも、筋肉や骨格によるものか、ほかの原因を考えるべきかの、手がかりが得られます。
必要に応じて、次のような検査を行います。レントゲンでは、背骨の状態や、圧迫骨折の有無などを調べます。血液検査では、炎症や、内臓の状態などを調べます。心電図は、心臓の状態を調べます。超音波(エコー)検査では、心臓や、おなかの臓器(腎臓・胆のうなど)の状態を調べます。CT検査は、より詳しく、胸やおなか、血管などの状態を調べるのに役立ちます。当院では、これらの検査を院内で行うことができます(CTは造影剤を使わない単純CT)。これらを組み合わせて、背中の痛みの原因を調べていきます。
骨粗しょう症と圧迫骨折について詳しく
骨粗しょう症は、骨がもろく、折れやすくなる状態です。とくに、閉経後の女性や、高齢の方に多くみられます。骨粗しょう症があると、ちょっとした動作や、はっきりしたきっかけがなくても、背骨がつぶれる圧迫骨折が起こることがあります。
背骨の圧迫骨折は、背中や腰の痛みを起こし、体を動かすと痛みが強くなることがあります。繰り返すと、背中が丸くなったり、身長が縮んだりすることもあります。骨粗しょう症は、骨密度の検査で調べることができ、当院でも行えます。高齢の方や、閉経後の女性で、背中の痛みが続く場合は、骨粗しょう症や圧迫骨折の可能性も考えて、確認しておくとよいでしょう。骨粗しょう症は、早めに気づいて対応することで、骨折の予防につながります。
帯状疱疹の痛みの経過について
帯状疱疹は、体の中に潜んでいたウイルスが、免疫の低下などをきっかけに再び活動して起こる病気です。背中や胸、おなか、顔などに起こります。
帯状疱疹の痛みは、多くの場合、赤い発疹や水ぶくれが出る、数日前から始まります。この時期は、まだ発疹が出ていないため、「背中がピリピリする」「チクチク痛む」といった痛みだけで、原因が分かりにくいことがあります。その後、痛みのある場所に、帯状に、赤い発疹や水ぶくれが現れます。帯状疱疹は、早めに治療を始めることが大切です。また、皮膚の症状が治った後も、痛みが長く続くこと(帯状疱疹後神経痛)があります。片側の背中に、ピリピリした痛みが続く場合や、発疹が出てきた場合は、早めに受診しましょう。
尿路結石による背中・わき腹の痛み
尿路結石は、腎臓から尿の通り道にできた石が、尿管などに詰まることで、突然、わき腹から背中にかけて、強い痛みを起こす病気です。痛みは、七転八倒するほど強いこともあり、血尿や、吐き気を伴うことがあります。
尿路結石による痛みは、内臓(尿路)の痛みで、体の動きとは関係なく起こります。わき腹から背中にかけての、突然の強い痛みや、血尿がある場合は、尿路結石の可能性を考えて、受診しましょう。水分を十分にとることが、結石の予防に役立ちます。尿酸値が高い方などは、結石ができやすいこともあります。
デスクワーク環境の整え方
デスクワークが多い方は、作業環境を整えることも、背中の痛みの予防に役立ちます。いすの高さを、足の裏が床につくように調整する、画面の高さを目線に合わせて、前かがみや、うつむき姿勢を避ける、背もたれを使って、背中を支える、といった工夫が役立ちます。
また、どんなに姿勢に気をつけても、同じ姿勢を長く続けること自体が、背中に負担をかけます。1時間に一度は立ち上がって、体を動かす、軽く伸びをする、といったことを習慣にしましょう。小さな工夫の積み重ねが、背中の負担を減らします。
当院での対応について
新高円寺クリニック(東京都杉並区・新高円寺駅徒歩2分)では、背中の痛みの診療に対応しています。痛みの起こり方や伴う症状をうかがい、診察のうえ、レントゲン・血液検査・心電図・超音波・CT検査などを、必要に応じて組み合わせて、原因を調べます。筋肉や背骨によるものか、内臓や血管の病気によるものかを見きわめ、対応していきます。より高度な検査や専門的な治療が必要な場合は、適切な医療機関へおつなぎします。
「背中の痛みが続く」「原因が分からず不安」「痛みに加えて、ほかの症状もある」といった方も、お気軽にご相談ください。ただし、突然の激しい痛みや、胸の痛み・息苦しさを伴う場合は、ためらわず救急要請を優先してください。
よくある質問
Q. 背中の痛みは、多くの場合、心配ないのでしょうか? A. 多くは、筋肉の疲れやこり、姿勢によるもので、心配のいらないことが少なくありません。ただし、内臓や血管の病気が原因のこともあるため、痛み方や伴う症状に注意が必要です。
Q. 突然の激しい背中の痛みが起きました。どうすればよいですか? A. 突然の、引き裂かれるような激しい痛みや、胸の痛み・冷や汗を伴う場合は、大動脈や心臓の病気のことがあります。ためらわず、救急要請を含めて、早めに対応してください。
Q. 背中の痛みに、発熱や腹痛も伴います。何が考えられますか? A. 内臓の病気(腎盂腎炎、胆のうの病気、膵炎など)のことがあります。発熱や腹痛を伴う背中の痛みは、放置せず受診してください。
Q. デスクワークで背中が痛みます。どうすればよいですか? A. 同じ姿勢を続けず、こまめに立ち上がって体を動かし、姿勢を見直しましょう。軽いストレッチも役立ちます。痛みが強い・長引く場合は、一度ご相談ください。
Q. 高齢の家族の背中の痛みが続きます。何を確認すべきですか? A. 骨粗しょう症による背骨の圧迫骨折のことがあります。骨密度の検査などで確認できます。発熱や腹痛などを伴う場合は、内臓の病気も考えて受診しましょう。
Q. 片側の背中がピリピリ痛みます。何でしょうか? A. 帯状疱疹の初期のことがあります。数日後に発疹が出てくることがあります。早めの治療が大切なので、受診してご相談ください。
Q. 背中の痛みで、まず何を確認すればよいですか? A. まず、突然の激しい痛みや、胸の症状・冷や汗、発熱・腹痛・血尿などの「危険なサイン」がないかを確認してください。これらがあれば早めの受診・救急要請を。なければ、痛み方や経過をみて、続く場合や強い場合は受診しましょう。当院では原因に応じた検査を行えます。
Q. 湿布を貼っていれば、背中の痛みは治りますか? A. 筋肉による痛みには役立つことがありますが、内臓や血管の病気による痛みには効果がなく、見逃しにつながることもあります。痛みが強い・長引く・ほかの症状を伴う場合は、まず受診しましょう。
Q. 安静にしていても背中が痛みます。心配ですか? A. 安静時や夜間にも痛む場合、体重減少を伴う場合などは、念のため確認したほうがよいことがあります。放置せず、受診してご相談ください。
Q. 背中の痛みと同時に、胸も痛みます。どうすればよいですか? A. 胸の痛みを伴う背中の痛みは、心臓や大動脈の病気のことがあります。とくに冷や汗や息苦しさを伴う場合は、ためらわず救急要請を含めて早めに対応してください。
Q. 背中の痛みが数日で治りません。受診したほうがよいですか? A. 数日たっても改善しない、だんだん強くなる、しびれやほかの症状を伴う、といった場合は、受診して原因を確認することをおすすめします。
Q. 体をひねると背中が痛みますが、じっとしていれば痛みません。筋肉のせいでしょうか? A. 体を動かすと痛み、安静で和らぐ痛みは、筋肉や骨格によるものが多いとされます。ただし、あくまで目安です。痛みが強い・長引く、しびれや危険なサインを伴う場合は、念のため受診しましょう。
Q. 押すと痛い背中の痛みは、心配ないですか? A. 押した場所が痛む痛みは、筋肉や骨格によるものが多いとされます。多くは、体を休めたりセルフケアで和らぎますが、長引く・強くなる場合は確認しましょう。
Q. しびれを伴う背中の痛みがあります。どうすればよいですか? A. しびれや、力の入りにくさを伴う痛みは、神経への影響が考えられます。放置せず、受診して確認することをおすすめします。
Q. 背中の痛みに、湿布と痛み止めで対応してよいですか? A. 筋肉や骨格による痛みには役立つことがあります。ただし、改善しない・長引く・ほかの症状を伴う場合や、原因がはっきりしない場合は、市販薬を続けず受診しましょう。
まとめ
- 背中の痛みの多くは、筋肉の疲れ・こり・姿勢によるもので、心配の少ないことが多い
- 一方、心臓・大動脈・内臓の病気が背中の痛みとして現れることもある
- 突然の激しい痛み、胸の痛み・冷や汗を伴う場合は、すぐに受診・救急要請を
- 発熱・腹痛・血尿・しびれ・体重減少を伴う場合や、安静時・夜間の痛みは受診を
- 原因に応じて、レントゲン・血液・心電図・超音波・CTなどで調べる(当院で対応可)
背中の痛みでお困りのときは、お気軽にご相談ください。
診療科目:内科・外科・整形外科・呼吸器内科・消化器内科・アレルギー科・性感染症内科・訪問診療 所在地:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2丁目11−3 麻吉ビル2F(新高円寺駅2番出口より徒歩2分) 電話:03-5377-5388 ご予約:WEB予約・LINEからも承っています