2026年6月08日
「腰が痛いけれど、病院に行くべき?それとも整骨院?」「何科を受診すればいいのかわからない」——腰痛は多くの方が経験する症状ですが、いざとなるとどこに相談すればよいか迷う方は少なくありません。
腰痛の多くは整形外科が専門ですが、中には内科的な病気が原因のこともあり、受診先を間違えると適切な治療が遅れることもあります。
腰痛で受診すべき診療科の選び方、整形外科と整骨院の違い、注意すべき危険な腰痛、検査の流れについて、わかりやすく解説します。
腰痛の原因は整形外科領域、内科領域と多岐にわたる
腰痛の原因は、背骨・椎間板・筋肉・神経といった運動器の問題が多くを占めますが、中には尿路結石や内臓の病気など、運動器以外が原因のこともあります。つまり腰痛は、整形外科領域と内科領域の両方にまたがる可能性のある症状なのです。時には心臓・血管外科での緊急手術が必要になることも。
そのため、単科のクリニックでは「ここでは専門外なので別の科へ」と再受診が必要になることもあります。腰痛で受診先に迷ったら、整形外科と内科の両方を備えた、総合的に診療できるクリニックを選ぶと、原因が運動器でも内臓でも一か所で評価でき、回り道がありません。
当院は内科・外科・整形外科を併設しているため、腰痛の原因が運動器か内臓かをまず総合的に見極め、その場で適切な検査・治療につなげることができます。
この記事では、腰痛のさまざまな原因と、整形外科と整骨院の違い、注意すべき危険な腰痛について見ていきましょう。
腰痛の原因と受診すべき科
整形外科が専門の腰痛
腰痛の大部分は、以下のような運動器の問題によるものです。
- 腰椎椎間板ヘルニア:椎間板が飛び出し神経を圧迫。お尻や足のしびれ・痛みを伴うことがある
- 腰部脊柱管狭窄症:神経の通り道が狭くなる。歩くと足がしびれ、休むと楽になる(間欠性跛行)
- 筋・筋膜性腰痛:筋肉や筋膜の炎症・疲労による腰痛
- ぎっくり腰(急性腰痛症):急に起こる強い腰痛
- 腰椎すべり症・分離症:背骨のずれやひびによる腰痛
- 変形性腰椎症:加齢に伴う背骨の変形
- 骨粗鬆症による圧迫骨折:高齢者で多く、知らないうちに背骨が潰れていることも
これらはいずれも整形外科で診断・治療が可能です。
内科的な病気が原因の腰痛
一見すると腰痛でも、内臓の病気が原因のことがあります。
- 尿路結石:わき腹〜背中にかけての激しい痛み、血尿を伴う
- 腎盂腎炎:発熱を伴う背部痛
- 膵炎:みぞおち〜背中の痛み
- 婦人科系の病気:子宮・卵巣の病気による下腹部〜腰の痛み
- 大動脈の病気:大動脈解離、腹部大動脈瘤など、命に関わるものも、心臓・血管外科での緊急手術の必要性あり
これらは姿勢や動きと関係なく痛む、発熱や血尿などの症状を伴う、といった特徴があります。このような場合は内科や該当する専門科の受診が必要です。
当院は内科・外科・整形外科を併設しているため、腰痛の原因が運動器か内臓かを総合的に判断できる点が強みです。
こんな腰痛はすぐに受診を
ほとんどの腰痛は安静で改善しますが、以下のような症状を伴う場合は、重大な病気が隠れている可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
足のしびれ・力が入らない(神経の圧迫)
排尿・排便の障害(尿が出にくい・漏れる)
発熱を伴う腰痛
安静にしていても痛む、夜間や朝方に強くなる
血尿を伴う
転倒・転落などの強い外傷の後
体重減少を伴う
がんの治療歴がある方の新たな腰痛
特に、排尿・排便の障害や足の麻痺を伴う場合は、緊急の対応が必要なことがあります。
また、高齢者では気づかないうちに背骨が圧迫骨折していることもあります。「いつの間にか背中が丸くなった」「身長が縮んだ」という方は、骨粗鬆症による骨折が隠れていることがあるため、整形外科での評価をおすすめします。
腰痛の検査の流れ
問診・診察
いつから・どこが・どのように痛むか、しびれの有無、痛むタイミング、既往歴などをうかがいます。足の動きや感覚、反射などを確認する診察も行います。
レントゲン検査
背骨の並び・骨の変形・すべり・圧迫骨折・骨の隙間の状態などを評価します。腰痛の基本的な検査です。
CT検査
レントゲンでは評価が難しい骨の詳細な構造を立体的に調べることができます。骨折の程度や複雑な骨の状態を詳しく評価したいときに有用です。
MRI検査(必要に応じて専門機関で)
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経や椎間板の状態を詳しく見るにはMRIが適しています。当院ではMRIが必要と判断した場合、連携する医療機関をご紹介します。
血液検査
発熱を伴う腰痛や、感染・炎症が疑われる場合、内科的な病気を除外するために行うことがあります。
腰痛の治療法
整形外科的な疾患では、原因や症状に応じて以下のような治療を組み合わせます。
・薬物療法 痛み止め(消炎鎮痛薬)、筋弛緩薬、神経の痛みに対する薬、湿布などを症状に応じて処方します。
・注射 痛みが強い場合、神経ブロック注射やトリガーポイント注射などで痛みを和らげることがあります。
・リハビリテーション(理学療法) ストレッチ・運動療法・物理療法(温熱・電気治療など)で、痛みの緩和と再発予防を図ります。
・生活指導 姿勢の改善、体重管理、適切な運動、日常生活での腰への負担を減らす工夫などをアドバイスします。
ほとんどの腰痛は手術をせずに改善しますが、神経症状が強い場合や保存療法で改善しない場合は、手術が検討されることもあります。その際は専門病院をご紹介します。
ご自宅でできる腰痛対策
軽い腰痛や、受診までの間に試せる対策をご紹介します。ただし、痛みが強い・しびれを伴う・改善しない場合は必ず受診してください。
・急性期(ぎっくり腰など) 痛みが強い最初の数日は、楽な姿勢で安静にします。ただし、近年は「動けるなら無理のない範囲で動いたほうが回復が早い」ことがわかっており、長期間の安静はかえって回復を遅らせます。
・慢性期 適度な運動・ストレッチが効果的です。ウォーキングや、腰回りの筋肉を支える体幹トレーニングが推奨されます。
・日常生活の工夫
重い物を持つときは膝を曲げて持ち上げる
長時間同じ姿勢を続けない
座るときは深く腰かけ、背すじを伸ばす
適正体重を保つ
体を冷やさない
「そのうち治る」と放置しないことが大切
腰痛は身近な症状であるがゆえに、「そのうち治るだろう」と放置されがちです。しかし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、圧迫骨折など、適切な治療が必要な腰痛も少なくありません。
特に、足のしびれや麻痺を伴う腰痛、発熱や血尿を伴う腰痛は、整形外科以外の病気が隠れている可能性もあります。自己判断せず、まずは整形外科で原因を調べることが、早期改善への近道です。