2026年7月22日
「立ち上がるときに膝が痛む」「階段の上り下りがつらい」「正座ができない」——膝の痛みは、年齢を重ねるとともに多くの方が経験する症状です。加齢による変化のこともあれば、けがや、炎症を伴う病気が原因のこともあります。
この記事では、膝の痛みの主な原因、注意すべき症状、自分でできる対処と予防、受診の目安について、わかりやすく解説します。
膝の痛みの主な原因
膝の痛みには、さまざまな原因があります。
変形性膝関節症 中高年に最も多い原因です。膝の軟骨が長年の使用ですり減り、痛みや動かしにくさが生じます。加齢に加え、肥満やО脚、過去のけがなどが関係します。
半月板損傷 膝のクッションの役割をする半月板が傷つくと、痛みや、膝が引っかかる感じ(ロッキング)が起こります。スポーツや、加齢による変化で起こります。
靭帯(じんたい)損傷 スポーツや転倒などで膝の靭帯を痛めると、痛みや膝の不安定感が生じます。
関節リウマチ 免疫の異常で関節に炎症が起こる病気で、左右の関節が腫れて痛み、朝のこわばりを伴うことがあります。
痛風・偽痛風 関節に結晶がたまって、突然、膝などが赤く腫れて激しく痛むことがあります。
化膿性関節炎 関節に細菌が入って炎症を起こす状態で、強い痛み・腫れ・発熱を伴います。緊急の対応が必要です。
変形性膝関節症について
膝の痛みで最も多い変形性膝関節症は、進行とともに症状が変化していきます。
初期は、立ち上がりや歩き始めなど、動き出すときに痛みを感じ、少し動くと楽になることが多いです。進行すると、階段の上り下りや正座がつらくなり、痛みが続くようになります。さらに進むと、安静にしていても痛む、膝が変形する、歩くのが難しくなる、といった状態になることもあります。
加齢が大きな要因ですが、体重が膝に負担をかけるため、肥満は進行を早める要因になります。また、太ももの筋力が低下すると、膝への負担が増します。早めに対応し、進行を抑えることが大切です。
膝の構造を知っておこう
膝は、立つ・歩く・座るなど、日常のあらゆる動作で体重を支え、大きく動く関節です。その分、負担がかかりやすく、痛みの原因もさまざまです。
膝関節は、太ももの骨(大腿骨)・すねの骨(脛骨)・膝のお皿(膝蓋骨)からできており、骨の表面は「軟骨」で覆われ、なめらかに動くようになっています。骨と骨の間には「半月板」というクッションがあり、衝撃をやわらげます。さらに、骨どうしをつなぐ「靭帯」や、膝を動かす「筋肉」が関わっています。
これらのどこに問題が起こるかによって、痛みの出方や対処が変わります。だからこそ、膝の痛みは「いつ、どこが、どんなときに痛むか」を確認することが大切です。
変形性膝関節症の治療について
膝の痛みで最も多い変形性膝関節症は、症状の程度に応じて、いくつかの方法を組み合わせて治療します。基本となるのは、手術ではない方法(保存療法)です。
運動療法 太ももの筋肉を鍛えることで、膝への負担を減らし、痛みの軽減や進行の抑制が期待できます。膝の治療の柱の一つです。
体重管理 体重が減ると、膝にかかる負担が減ります。肥満がある場合、減量は痛みの改善に直接つながります。
薬・注射 痛みや炎症をやわらげる薬や、膝の動きをなめらかにする注射(ヒアルロン酸など)を用いることがあります。
装具・サポーター 膝を安定させたり、負担を分散させたりする装具やサポーター、足底板(中敷き)を使うことがあります。
手術 保存療法で改善が難しく、日常生活への支障が大きい場合には、手術が検討されることもあります。
どの方法が適しているかは、状態によって異なります。早めに対応し、進行を抑えることが大切です。
膝の痛みを防ぐ・改善する運動
膝の痛みの予防・改善には、膝を支える筋肉を鍛えることが効果的です。とくに、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が大切です。無理のない範囲で、次のような運動を取り入れてみましょう。
- イスに座って足を伸ばす運動:イスに座り、片方の足をゆっくりと水平に伸ばし、数秒止めてゆっくり下ろします。膝に負担をかけずに太ももを鍛えられます。
- あお向けで足を上げる運動:あお向けで片膝を立て、もう一方の足を伸ばしたまま少し持ち上げます。
- ウォーキング:膝に負担の少ない範囲で歩くことは、筋力維持や体重管理に役立ちます。
- 水中歩行・水泳:水の中では膝への負担が減るため、痛みがある方にも取り入れやすい運動です。
ただし、強い痛みや腫れがあるときは、無理に運動せず安静にしましょう。どの程度動かしてよいか迷う場合は、医師に相談してください。痛みのない範囲で続けることが大切です。
日常生活で膝への負担を減らす工夫
日々の生活の中でも、膝への負担を減らす工夫ができます。
- 深くしゃがむ動作や、長時間の正座を避ける
- 床に座る生活より、イスやベッドなどの洋式の生活を取り入れる
- 階段は手すりを使い、無理のないペースで上り下りする
- クッション性のある、歩きやすい靴を選ぶ
- 必要に応じて杖を使い、膝への負担を分散する
- 適正体重を保つ
こうした工夫は、膝の痛みをやわらげ、進行を抑えることにつながります。
関節リウマチについて詳しく
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こる病気です。膝だけでなく、手や足など複数の関節が、左右対称に腫れて痛むことが多く、朝に関節がこわばる(朝のこわばり)のが特徴です。
放置すると関節の変形が進むことがありますが、近年は治療が進歩しており、早期に発見して治療を始めることで、進行を抑えることが期待できます。膝の腫れや痛みとともに、ほかの関節の症状や朝のこわばりがある場合は、血液検査などで確認することが大切です。
こんな膝の痛みは注意が必要です
次のような場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 膝が赤く腫れて熱をもっている、発熱を伴う(感染・痛風などの可能性)
- けがの後で歩けない、膝に力が入らない、不安定で崩れる感じがする
- 膝が引っかかって動かなくなる(ロッキング)
- 急に膝が腫れて、強い痛みが出た
- 痛みが続いて、日常生活に支障が出ている
とくに、強い腫れ・熱感・発熱を伴う場合は、感染や結晶による関節炎の可能性があり、早急な対応が必要なことがあります。
自分でできる対処と予防
膝の痛みの予防・改善には、日ごろの取り組みが役立ちます。
太ももの筋肉を鍛える 太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えると、膝への負担が減ります。イスに座って片足をゆっくり伸ばす運動など、無理のない範囲で続けましょう。
適正体重を保つ 体重が増えると、その分膝への負担が増えます。減量は、膝の痛みの改善につながります。
膝に負担をかけすぎない 深くしゃがむ、長時間の正座、重い物を持っての階段昇降などは膝に負担をかけます。生活の中で工夫しましょう。
膝を冷やさない・温める 冷えると血行が悪くなり、痛みを感じやすくなります。冷やしすぎないようにしましょう(ただし、急に腫れて熱をもっているときは冷やすこともあります)。
痛みが強いときや、腫れ・発熱を伴うときは、自己流の運動で悪化させないよう、まず受診をおすすめします。
膝に水がたまるとは
膝の痛みとともに、「膝が腫れる」「膝に水がたまる」ことがあります。これは、関節の中で炎症が起こると、関節液が過剰に作られてたまるために起こります。変形性膝関節症や半月板の傷み、痛風、リウマチなど、さまざまな原因で起こりえます。
「水を抜くとクセになる」と心配される方もいますが、水がたまるのは炎症が続いている結果であり、抜くこと自体が原因でたまりやすくなるわけではありません。大切なのは、なぜ水がたまるのか、その原因を調べて対応することです。膝の腫れが続く場合は、ご相談ください。
子どもや若い世代の膝の痛み
膝の痛みは中高年だけでなく、成長期の子どもやスポーツをする若い世代にも起こります。成長期には、膝のお皿の下が痛む「オスグッド病」など、使いすぎによる痛みがみられることがあります。
スポーツ中に膝をひねった、ぶつけた後に痛みや腫れ、不安定感がある場合は、靭帯や半月板の損傷が疑われます。成長期の痛みや、けがの後の痛みは、放置すると長引くこともあるため、早めに整形外科で相談しましょう。
痛風・偽痛風について詳しく
膝が突然、赤く腫れて激しく痛む場合、痛風や偽痛風が原因のことがあります。
痛風は、体内の尿酸が増えて結晶となり、関節にたまって炎症を起こす病気です。足の親指の付け根に起こることで知られますが、膝に起こることもあります。偽痛風は、別の種類の結晶(ピロリン酸カルシウム)が関節にたまって起こるもので、高齢の方の膝に多くみられます。
どちらも、突然の強い痛みと腫れ、熱感が特徴です。血液検査や、関節にたまった液を調べる検査などで確認し、炎症をやわらげる治療を行います。痛風の場合は、尿酸を下げる生活改善や治療も大切です。
半月板損傷・靭帯損傷について詳しく
膝のクッションである半月板が傷つくと、膝の痛みや、膝の中で何かが引っかかる感じ、膝が動かなくなる(ロッキング)といった症状が起こります。スポーツでのひねりや、加齢による変化で起こります。
靭帯は、膝の骨どうしをつなぎ、関節を安定させています。スポーツや転倒などで靭帯を損傷すると、痛みや腫れ、膝がぐらつく・崩れるような不安定感が生じます。
これらは、けがをきっかけに起こることが多く、レントゲンに加えて、必要に応じた検査で状態を確認します。損傷の程度によって、リハビリや、場合によっては手術が検討されます。スポーツ中のけがの後や、膝の不安定感が続く場合は、整形外科で相談しましょう。
化膿性関節炎は緊急の対応が必要
膝の関節に細菌が入って炎症を起こす「化膿性関節炎」は、緊急の対応が必要な状態です。強い痛み・腫れ・熱感に加え、発熱を伴うことがあります。
放置すると関節が壊れてしまうこともあるため、これらの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。とくに、急に膝が腫れて、熱をもち、全身の発熱もあるといった場合は、注意が必要です。
膝の痛みのさまざまな原因(鑑別)
膝の痛みは、これまで紹介した変形性膝関節症・半月板や靭帯の損傷・関節リウマチ・痛風や偽痛風・化膿性関節炎のほかにも、非常に多くの原因があります。痛む場所(内側・外側・お皿の前・膝の裏)や、年代、きっかけによって、考えられる原因が異なります。代表的なものを挙げます。
膝の周りの腱・滑液包の炎症
膝関節そのものではなく、その周りの腱や、滑液包(動きをなめらかにする袋)に炎症が起こって痛むことがあります。使いすぎや、繰り返す負担が原因になることが多いものです。
- 鵞足炎(がそくえん/鵞足滑液包炎):膝の内側の、関節よりやや下のあたりに、3つの筋肉の腱が集まって付着する「鵞足」という部分があります。ここに炎症が起こると、膝の内側の下が痛みます。中高年の女性、肥満のある方、変形性膝関節症のある方、ランニングをする方、糖尿病のある方などに多くみられます。階段の上り下りや立ち上がりで痛むことがあります。
- 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん/ランナー膝):太ももの外側を通る腸脛靭帯が、膝の外側でこすれて炎症を起こすものです。膝の外側が痛みます。ランニングや自転車をよくする方など、使いすぎで起こることが多いとされます。
- 膝蓋腱炎(しつがいけんえん/ジャンパー膝):膝のお皿の下にある腱(膝蓋腱)に炎症が起こり、お皿の下が痛みます。ジャンプや着地を繰り返すスポーツ(バレーボール・バスケットボールなど)で起こりやすいものです。
- 膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん):膝のお皿の前にある滑液包の炎症で、床に膝をついて作業することの多い方に起こりやすく、お皿の前が腫れます。
膝のお皿(膝蓋骨)に関係するもの
膝のお皿(膝蓋骨)と、その奥の太ももの骨との間に問題が起こり、膝の前側が痛むことがあります。
- 膝蓋大腿疼痛症候群(しつがいだいたいとうつうしょうこうぐん):お皿と太ももの骨の間の動きやかみ合わせの問題で、膝の前が痛みます。階段の上り下りや、長く座った後に立つときに痛むことが多く、若い女性やスポーツをする方に多くみられます。
- 膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう):お皿の裏側の軟骨が柔らかくなり、膝の前に痛みが出るものです。若い世代、とくに女性にみられることがあります。
- タナ障害(滑膜ひだ障害):膝の中にある滑膜の「ひだ(タナ)」が、骨との間に挟まって、痛みや引っかかりを起こすことがあります。
- 膝蓋骨脱臼・亜脱臼:お皿が外れたり、ずれたりするもので、痛みや膝くずれの原因になります。
軟骨・骨の病気
- 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん):関節の軟骨と、その下の骨の一部が、はがれてくる状態です。成長期のスポーツをする子どもや若い方に多く、膝の引っかかりやロッキングを起こすことがあります。
- 膝の骨壊死(こつえし/特発性骨壊死):膝の骨の一部の血流が悪くなり、骨が壊れてしまうものです。高齢の方、とくに女性に多く、突然の強い膝の痛み(とくに夜間の痛み)で発症することがあります。
- 疲労骨折:繰り返す負担によって、骨に細かい亀裂が入るものです。スポーツを多く行う方などにみられます。
膝の裏にできるもの
- ベーカー嚢腫(のうしゅ/膝窩嚢胞):膝の裏に、関節液がたまった袋(嚢腫)ができるものです。膝の裏の腫れやつっぱり感が生じます。変形性膝関節症や半月板の傷みに伴って起こることが多く、まれに破れて、ふくらはぎの痛みや腫れを起こすことがあります。
成長期の子どもに多いもの
成長期は、骨や軟骨がまだ成長している途中のため、特有の膝の痛みが起こることがあります。
- オスグッド病:膝のお皿の下の骨の出っ張りが、痛んだり盛り上がったりするものです。成長期にスポーツをする子どもに多くみられます。
- シンディング・ラーセン・ヨハンソン病:膝のお皿の下端に痛みが出るもので、こちらも成長期のスポーツをする子どもにみられます。
- 成長痛:夕方から夜にかけて、膝の周りなどが痛むものの、検査でははっきりした異常がみられないものです。
膝以外が原因で膝が痛むこともある(関連痛)
膝が痛くても、原因が膝ではなく、別の場所にあることがあります。
とくに注意したいのが、股関節の病気が膝の痛みとして現れることです。子どもでは、股関節の病気(大腿骨頭すべり症やペルテス病など)が、膝の痛みとして出ることがあり、見逃さないよう注意が必要です。大人でも、変形性股関節症などが膝やももの痛みとして感じられることがあります。また、腰の神経が原因で、膝のあたりに痛みやしびれが出ることもあります。
膝を調べても異常がはっきりしない、股関節や腰にも気になることがある、という場合は、これらの可能性も含めて確認します。
全身の病気に伴う関節炎
関節リウマチや痛風・偽痛風のほかにも、皮膚の病気に伴う関節炎(乾癬性関節炎)や、感染をきっかけに起こる関節炎(反応性関節炎)、その他の膠原病に伴う関節炎など、全身の病気の一部として膝に炎症が起こることがあります。複数の関節が腫れる、皮膚や目などにも症状がある、といった場合は、こうした病気の可能性も考えて、血液検査などで確認します。
このように、膝の痛みの原因は多岐にわたります。痛む場所・年代・きっかけ・伴う症状によって、考えられる原因はさまざまです。自己判断は難しいため、痛みが続く場合や気になる場合は、整形外科で原因を確認することをおすすめします。
痛む場所からみた膝の痛み(早見表)
膝のどこが痛むかは、原因を考える手がかりになります。下の表は、痛む場所と、考えられる主な原因の目安です。ただし、原因は重なり合うことも多く、これだけで自己判断はできません。あくまで目安としてご覧ください。
| 痛む場所 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 膝の内側 | 変形性膝関節症(内側型)、鵞足炎、内側半月板損傷、内側側副靭帯損傷 |
| 膝の外側 | 腸脛靭帯炎(ランナー膝)、外側半月板損傷、外側側副靭帯損傷 |
| お皿の前・周囲 | 膝蓋大腿疼痛症候群、膝蓋軟骨軟化症、膝蓋前滑液包炎、膝蓋骨脱臼 |
| お皿の下 | 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、オスグッド病(成長期) |
| 膝の裏 | ベーカー嚢腫、膝裏の筋肉・腱の問題 |
| 膝全体・場所がはっきりしない | 変形性膝関節症(進行期)、関節リウマチ、痛風・偽痛風 |
| 強い腫れ・熱感・発熱を伴う | 化膿性関節炎、痛風・偽痛風(緊急性に注意) |
痛む場所だけでなく、いつ・どんなときに痛むか、けがのきっかけ、腫れや熱感の有無などとあわせて、医師が原因を判断します。痛みが続く場合は、整形外科で確認しましょう。
膝の痛みの検査について
膝の痛みの原因を調べるために、症状に応じて次のような検査を行います。
レントゲン検査 骨や関節の状態、軟骨のすり減りの程度、変形などを確認します。膝の検査の基本となるもので、まず行うことが多い検査です。
CT検査 骨の状態を、レントゲンよりもさらに詳しく、立体的に調べられる検査です。レントゲンではわかりにくい骨折(細かい骨折や複雑な骨折)、関節の表面の状態、関節内に遊離した骨や軟骨のかけら(関節ねずみ)、骨の変形の程度などを、より詳しく確認できます。当院ではCT検査が可能で、その日のうちに骨の状態を詳しく確認できます。
超音波(エコー)検査 関節の炎症や、水がたまっていないかなどを、体の外から確認できます。
血液検査 関節リウマチや痛風、感染などが疑われる場合に、炎症の程度や原因を調べます。
関節の液を調べる検査 膝に水がたまっている場合、その液を採取して、原因(痛風・感染など)を調べることがあります。
MRI検査 レントゲンやCTでは写りにくい、半月板・靭帯・軟骨や、骨の内部(骨髄)の状態まで詳しく調べられる検査です。半月板や靭帯の損傷、初期の骨壊死や疲労骨折、離断性骨軟骨炎など、骨を調べる検査だけではわかりにくい病気が疑われる場合に、とくに役立ちます。
当院では、まずレントゲンやCTで骨の状態を確認します。そのうえで、半月板・靭帯・軟骨などをさらに詳しく調べる必要があると判断した場合に、MRI検査を検討します(MRIは、検査が可能な医療機関と連携して行います)。けがの後で半月板・靭帯の損傷が疑われるときや、骨の検査では原因がはっきりしないとき、手術を検討するときなどが、その対象になります。
これらを組み合わせて原因を確認し、適切な治療につなげます。
膝の痛みのセルフチェック
次のような膝の痛みは、早めの受診をおすすめします。
- 膝が赤く腫れて熱をもっている、発熱を伴う
- けがの後で歩けない、膝が不安定で崩れる感じがする
- 膝が引っかかって動かなくなる(ロッキング)
- 急に膝が腫れて、強い痛みが出た
- 痛みが続いて、日常生活に支障が出ている
とくに、強い腫れ・熱感・発熱を伴う場合は、感染や結晶による関節炎の可能性があり、早急な対応が必要なことがあります。
受診のときに伝えるとよいこと
膝の痛みで受診する際は、次の点を伝えると診断に役立ちます。
- いつから痛むか、きっかけ(けが・スポーツなど)があったか
- どのあたりが、どんなときに痛むか(歩き始め・階段・正座など)
- 腫れや熱感、発熱があるか
- 膝の不安定感や、引っかかりがあるか
- これまでの膝の病気や、持病
メモにしておくと、伝えもれを防げます。
年代・性別にみる膝の痛み
膝の痛みは、年代によって多い原因が異なります。
- 若い世代・スポーツをする方:スポーツによる半月板や靭帯の損傷、使いすぎによる痛みが多くみられます。成長期には、膝のお皿の下が痛むオスグッド病などもあります。
- 中高年:変形性膝関節症が増えてくる年代です。
- 高齢の方:変形性膝関節症が進行することや、偽痛風などが起こりやすくなります。
また、変形性膝関節症は、女性(とくに閉経後の女性)に多くみられるとされています。筋力や骨格、ホルモンの影響などが関係すると考えられています。
膝の痛みを我慢し続けるとどうなるか
膝の痛みを我慢して放置すると、状態によっては悪循環に陥ることがあります。
膝が痛むと、動くのがおっくうになり、運動量が減ります。すると、膝を支える太ももの筋肉が衰え、膝への負担がさらに増えて、痛みが悪化する——という悪循環です。また、変形性膝関節症は、放置すると軟骨のすり減りが進むことがあります。
「年のせい」「そのうち治る」と放置せず、早めに原因を確認し、運動療法や体重管理などに取り組むことが、痛みの悪化や進行を防ぐことにつながります。
膝が痛いとき、運動すべきか安静にすべきか
「膝が痛いから動かさないほうがよいのか、それとも動かしたほうがよいのか」と迷う方は多いものです。
答えは、状態によって異なります。強い痛みや腫れ、熱感があるときは、安静にして膝を休めることが大切です。一方、痛みが落ち着いているときは、太ももの筋肉を鍛える運動が、むしろ膝を守り、痛みの軽減に役立ちます。
大切なのは、痛みの強い時期に無理をしないこと、そして痛みが落ち着いたら適度に動かすことです。どの程度動かしてよいか迷う場合は、医師に相談しながら進めると安心です。
膝の健康を保つために
膝の痛みを予防し、長く元気に歩くためには、日ごろの心がけが大切です。太ももの筋肉を保つ運動を習慣にし、適正体重を保ち、膝に負担をかけすぎない生活を心がけましょう。膝を冷やさないことや、歩きやすい靴を選ぶことも役立ちます。
膝の痛みは、早めに対応することで、進行を抑え、生活の質を保つことにつながります。気になる症状があれば、我慢せずにご相談ください。
膝の痛みと「温める・冷やす」
膝の痛みは、状態によって、温めるとよい場合と冷やすとよい場合があります。
急に膝が腫れて熱をもっているとき(急性の炎症があるとき)は、冷やすことで炎症や痛みをやわらげます。一方、慢性的な変形性膝関節症などで、冷えると痛みが強くなるような場合は、温めて血行をよくするほうが楽になることが多いとされます。膝を冷やさないようにすることも、日ごろの工夫として役立ちます。
どちらをすればよいか迷う場合は、自己判断で悪化させないよう、医療機関に相談すると安心です。
膝の痛みのよくある誤解
膝の痛みについては、いくつか誤解されやすい点があります。
「膝が痛いから動かさないほうがよい」と考えて、まったく動かさずにいると、かえって筋力が落ちて膝に負担がかかることがあります。痛みの強い時期を除けば、適度に動かすことが大切です。
また、「年だから仕方ない」とあきらめてしまう方もいますが、運動療法や体重管理、適切な治療によって、痛みをやわらげ、進行を抑えることは十分に可能です。「もう年だから」と我慢せず、できることから取り組むことが、長く元気に歩くことにつながります。
当院での対応について
新高円寺クリニック(東京都杉並区・新高円寺駅徒歩2分)では、膝の痛みの診療を行っています。まずレントゲンやCTで骨や関節の状態を確認でき、必要に応じて超音波や、痛風・リウマチを調べる血液検査も行います。CT検査は当院で可能なため、その日のうちに骨の状態を詳しく確認できます。さらに詳しい評価が必要な場合は、MRI検査について連携医療機関とともに対応します。内科も併設しているため、全身の状態を含めて総合的に診られることが当院の強みです。
「立ち上がりや階段で膝が痛い」「正座ができない」「膝が急に腫れた」といった方も、お気軽にご相談ください。膝の痛みは、早めに原因を知り、対応することが大切です。
よくある質問
Q. 変形性膝関節症は治りますか? A. すり減った軟骨が元に戻るわけではありませんが、運動療法や体重管理、痛みをやわらげる治療によって、症状の改善や進行を抑えることが期待できます。状態によっては手術が検討されることもあります。
Q. 膝が痛いときは、運動しないほうがよいですか? A. 強い痛みや腫れがあるときは安静が必要ですが、落ち着いているときは、太ももの筋力をつける運動がむしろ役立ちます。無理のない範囲で行いましょう。迷う場合はご相談ください。
Q. サポーターは使ったほうがよいですか? A. 膝を安定させ、痛みをやわらげる助けになることがあります。使い方を含めてご相談ください。
Q. 膝の水は抜いたほうがよいですか? A. 腫れが強く痛みがある場合は、水を抜いて検査することもあります。原因を調べて対応することが大切なので、自己判断せずご相談ください。
Q. 正座は膝に悪いですか? A. 深く曲げる正座は膝に負担をかけます。膝に痛みがある方は、長時間の正座を避け、イスを使うなどの工夫をおすすめします。
Q. 膝の痛みに、サポーターや杖は使ったほうがよいですか? A. 膝を安定させ、負担を減らす助けになることがあります。使い方や種類を含めてご相談ください。
Q. 体重を減らすと、膝の痛みは楽になりますか? A. 膝には体重の何倍もの負担がかかるため、減量は痛みの軽減に役立ちます。無理のない範囲で取り組みましょう。
Q. 変形性膝関節症は、運動すると悪化しませんか? A. 適切な運動はむしろ膝を守ります。ただし、痛みや腫れが強いときは安静が必要です。どの運動をどの程度行うか、迷う場合はご相談ください。
Q. 階段の上り下りで膝が痛みます。受診の目安は? A. 動作のたびに痛む、痛みが続く、腫れを伴うといった場合は、変形性膝関節症などの可能性があり、早めの受診をおすすめします。
Q. 膝の痛みは温めるのと冷やすの、どちらがよいですか? A. 急に腫れて熱をもっているときは冷やし、慢性的な痛みや冷えると悪化する場合は温めるのが一般的です。迷う場合はご相談ください。
Q. ひざ用のサプリメントは効果がありますか? A. サプリメントだけで膝の痛みが改善するという確かな効果は、はっきりしていません。まずは運動療法や体重管理など、効果が期待できる方法に取り組むことをおすすめします。気になる場合はご相談ください。
Q. 膝の痛みは、何科に行けばよいですか? A. 膝の痛みは整形外科が専門です。腫れや発熱を伴う場合は、痛風やリウマチ、感染なども考えて、血液検査などもあわせて行うことがあります。
Q. 膝の痛みを予防するには、どんな運動がよいですか? A. 太ももの前側の筋肉を鍛える運動(イスに座って足を伸ばすなど)や、膝に負担の少ないウォーキング・水中歩行がおすすめです。無理のない範囲で続けましょう。
まとめ
- 膝の痛みは、変形性膝関節症が最も多く、加齢・肥満・筋力低下が関係する
- 半月板・靭帯の損傷、リウマチ、痛風、感染など、ほかの原因もある
- 赤い腫れ・熱感・発熱・けが後に歩けない・膝のロッキングは早めの受診を
- 太ももの筋力アップ・体重管理が予防と改善の柱
- 膝の痛みは整形外科が専門、腫れや発熱があれば血液検査も
膝の痛みが気になる方は、お気軽にご相談ください。
診療科目:内科・外科・整形外科・消化器科・呼吸器科・アレルギー科・感染症内科・往診・在宅医療 所在地:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2丁目11−3 麻吉ビル2F(新高円寺駅2番出口より徒歩2分) 電話:03-5377-5388 ご予約:WEB予約・LINEからも承っています